空腹のカモメは私たちのポテトチップスやサンドイッチを盗むだけではない。彼らは人間の習慣を学習し、確実な食料源を探そうとする。例えばゴミ処理施設や埋め立て地など、食品の廃棄物が集中する場所がそうだ。そのため多くのカモメの群れが海岸から内陸部に移動している。
埋め立て地にやって来たカモメは、生ゴミが埋められる前に食べ、食べ物が付着した小さなプラスチックやガラス片を丸ごとのみ込む。消化されるのは食べ物だけで、カモメが巣に戻ると、他のゴミは吐き出され、その場を汚染する。このような汚染物質の移動を「バイオベクタリング」と呼ぶ。
科学者は今、鳥たちの日々の移動を通じて貴重な自然環境に持ち込まれるプラスチックやその他のゴミを定量的に把握しようとしている。
イギリスを含むヨーロッパ北部で繁殖するニシセグロカモメは、冬になるとスペイン南部のアンダルシア州に渡り、主に水田や埋め立て地で餌を取る10万羽以上の越冬個体群を形成する。幸い、その多くは繁殖期にGPSタグが装着されているので、移動経路を詳細に追跡できる。
同州マラガ県のフエンテ・デ・ピエドラ湖は、ニシセグロカモメの集団越冬地の1つだ。スペイン最大のフラミンゴの繁殖地としても知られ、ラムサール条約で国際的に重要な湿地に指定されている。カモメは餌を求めて、ここから最大80キロ離れた埋め立て地まで往復する。
周辺の生き物全体への脅威に
研究者はGPSデータと個体数調査、ペレット(鳥が吐き戻した不消化物の小塊)の分析から、カモメが湖に持ち込むプラスチックは年平均400キロ、ガラスや繊維、陶器などその他のゴミは2トン以上と推定している。
プラスチックは湖内に残留し、マイクロプラスチックに分解されて、フラミンゴのヒナや水生昆虫、その他の生き物に摂取される可能性がある。
アンダルシアの沿岸部では、ニシセグロカモメと定住種のキアシセグロカモメ、渡り鳥と定住種が混在するコウノトリが、埋め立て地を訪れる3大水鳥となっている。
ラムサール条約に登録されているカディス湾の湿地帯でも、この3種がプラスチックを拡散させている。鳥が吐き出したペレットを介して毎年530キロのプラスチックが湿地に堆積する。
こうした生ゴミの摂取は、病死や窒息のほか、プラスチック製の網などに絡まる事故や添加物の毒性作用を通じて鳥たち自身に深刻な影響を及ぼす。さらに吐き出されたペレットは全ての動物相への脅威となり、カディス湾の主要産業である養殖業や食塩生産を通じて私たちの食料供給網にも容易に入り込んでいく。
この問題はスペインだけでなく、ヨーロッパ全体で進行中だ。カモメが生ゴミを求めて集まる場所では、どこでも同様の状況が発生している。
イギリスなどでは最近、カモメの個体数が減少しているが、これには多くの埋め立て地の閉鎖や生ゴミ管理の改善が寄与している可能性がある。それでも私たちの消費社会が多くの生ゴミを出し続ける限り、自然環境へのプラスチックの流入は続きそうだ。
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Andy J. Green, Professor of Freshwater Ecology, Estación Biológica de Doñana (EBD-CSIC); Manchester Metropolitan University
This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.