Miho Uranaka Anton Bridge
[東京 22日 ロイター] - 三菱UFJ銀行の大沢正和新頭取はロイターとのインタビューで、LBO(レバレッジド・バイアウト)ローンなど大規模な企業買収資金のニーズが高まる中、リスクマネーの供給拡大に向け長期資金を持つ保険会社と連携してファンドを通じた融資に乗り出すことは「大いにある」と意欲を示した。他行との競争が激しくなる環境下で、単純な融資から一歩踏み込み、リスクを取りつつ付加価値を提供して収益機会の拡大を図りたい考えだ。
企業のM&A(合併・買収)は、日本製鉄によるUSスチール買収に代表される兆円単位の大型案件が相次いでいる。LBOローンは、買収資金を借り入れに大きく依存し、返済も買収先企業の収益力に左右され、リスク資産が積み上がりやすい。このため資金支援する金融機関はバランスシートへの負担が増し、単独でリスクを抱え込まない対応の重要性が高まっている。
三菱UFJ銀は、これまでも融資案件を組成した後に投資家へリスクを配分するオリジネーション・アンド・ディストリビューション(O&D)モデルへのシフトを進めROE(自己資本利益率)の向上にもつなげてきた。
こうした取り組みの延長で、大沢氏は「生損保など長期性の資金を持つ投資家と一緒に、ファンド形式で、われわれのバランスシートとは別の形でサポートしていくことは大いにある」と述べた。米国のプライベートクレジット(ノンバンク融資)ファンドとも、ファンド組成などを通じた協働に前向きな姿勢を示した。
銀行を取り巻く競争環境の厳しさが増していることもリスクマネー供給の取り組みを拡大する一因となっている。大沢氏は「期日が来たら返済してもらうという単純なファイナンスでは、もはや生き残れない」と指摘した上で、「エクイティ(出資)を入れつつ(ファイナンス)全体のストラクチャリングをするなどしないと、企業から選んでもらえない世界になってきた。そういうことも含めて、(はじめて)相談できるパートナーになれる」と話した。
グループ内の信託銀行とともにファンドを立ち上げるなどして、機関投資家の資金活用も進めている。大沢氏は「どれだけ調達のソースを多様化していけるかに尽きる」と強調した。
事情に詳しい複数の関係者によると三井住友フィナンシャルグループと日本生命保険は、LBO融資を手がけるプライベートクレジットファンドの設立に向け協議している。リスク性資金の供給が不足しているとされる日本でも銀行以外の資金を活用してリスクマネーを提供する動きが広がりつつある。
三菱UFJ銀はまた、従来プロジェクトファイナンスの対象とされてこなかった蓄電所などの分野でも案件を組成するなど、リスクの取り方を工夫してファイナンス手法の幅を広げている。大沢氏は、政府が掲げる成長戦略の下、公的資金を呼び水に民間資金を呼び込む取り組みが加速すると予想される中、銀行が官民をつなぐ役割が一段と高まるとみる。
大沢氏は4月1日に頭取に就任した。
※インタビューは20日に実施しました。