Howard Schneider
[ワシントン 21日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)の次期議長に指名されたケビン・ウォーシュ氏の承認公聴会が21日午前、上院銀行委員会で始まった。就任承認は、最終的には実現するとみられるものの、パウエル現議長の刑事捜査を巡る論争により遅れる見込みだ。
ウォーシュ氏は公聴会で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後に米国の家計を圧迫し続けているインフレ急騰の責任はFRBにあると非難を展開。インフレ抑制のための新たな「枠組み」とFRBの「政策運営の体制転換」を主張した。改革には、問題を「複雑化」させた金融政策に関する国民とのコミュニケーションも含まれるとし、FRBが現在使用している四半期ごとの経済・金利予測などを変更する可能性を示唆した。また、FRBがインフレ率を測るために現在採用している指標には欠陥があるとし、データの見直しに着手するとも述べた。
トランプ米大統領は21日、米連邦準備理事会(FRB)の次期議長に指名したケビン・ウォーシュ氏が、就任後すぐに利下げを行わなければ失望すると述べている。
これについて質問されたウォーシュ氏は「大統領は概して利下げを支持するものだ。トランプ大統領はそれを極めて公然と表明している」と回答した。
その上で、トランプ大統領から特定の金融政策路線を追求するよう指示されたことは一度もないと否定。「大統領は一度たりとも、私に特定の金利決定を約束するよう求めたことはない。もし求められたとしても、私は決して同意しなかっただろう」とした。
ウォーシュ氏は委員会メンバーに対する冒頭の声明で「金融政策の独立性は不可欠だ」と言明。「選挙で選ばれた大統領や議員らが金利について見解を述べたからといって、金融政策運営の独立性が特に脅かされるとは考えていない」とし、「議会はFRBに対し、言い訳も曖昧さも、議論も苦悩もなく、物価の安定を確保するという使命を課した。インフレは選択の問題であり、FRBはその責任を負わなければならない。低インフレはFRBの最大の武器だ」と語った。
委員会と上院本会議での投票がいつ行われるかは不透明だ。委員会のメンバーである共和党のトム・ティリス議員は、米司法省がパウエル議長に対する調査を中止しない限り、ウォーシュ氏の指名を阻止すると述べている。
ただ、ティリス氏を含む共和党員は概してウォーシュ氏の指名を支持している。一方、民主党は、2007年から09年の金融危機時にウォーシュ氏がFRBで果たした役割から、資産公開関連に至るまで、多くの問題を提起する方針だ。
ウォーシュ氏が提出した財務開示書類には、様々な投資における莫大な資産が記載されており、その多くは、公務員が保有できる資産を定めるFRBの規則に適合しないものだった。これらの投資がどのように売却されるのか、また自身の資産の多くが何であるかについて、ウォーシュ氏は明言を避けている。
民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員は、この点を厳しく追及。ウォーシュ氏が、保有資産売却には困難が伴うとしながらも、売却手続きが完了すれば「実質的に金融資産はゼロとなり、現金のようなものしか手元に残らない」と述べたことに対し、「売却対象が何なのか全く分からないのに、実際に売却が行われることを確認する方法はあるのか」などと問い質した。
パウエル議長の任期は5月15日に正式に満了するため、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)がパウエル氏にとって議長として最後となる可能性がある。ただ、事態が膠着しウォーシュ氏の承認が遅れた場合、任期満了後もパウエル氏が議長職にとどまる可能性がある。
後任議長が承認されない場合、FRBは過去に独自に「臨時」議長を指名してきた。パウエル氏の理事としての任期は28年まであり、ウォーシュ氏が承認された場合でも、主要な政策決定者として残ることができる。
ロイターが20日に確認した証言の準備原稿では、ウォーシュ氏は、金利決定を政治的圧力などから「完全に独立した」ものにすると誓うとともに、FRBはより「改革志向」になる必要があるとしていた。「FRBの権限に含まれる非金融問題については、政権および議会と協力していく」と誓った。