──そうなんですね。

資本主義はお金を儲けることで回っていく世界だから、例えば「お金以外に大事なものがありますよ。そっちの資産を増やしましょう」っていうよりは、「資産運用しましょう」という方が、受けがいいんですね。

いま盛んにいわれる「投資」は、何かしらの金融商品を売ることだし、世の中に出ている情報は「商品を買うことで問題解決しましょう」ということが大半です。もちろん生活していくにはお金が必要だし、お金の不安や物価高もありますから「お金を増やそう」って話になる。

SNSの影響もより強くなっていると感じます。「まわりの人は投資しているのに、こんなに稼いでいる人がいるのに、自分だけ乗り遅れたらどうしよう……」と。

例えば、「地震が起きて津波が来るかもしれないから不安」であれば、みんなで堤防を作ろうとか考えるわけじゃないですか。ところが「お金の不安」になると、手元にお金を持っておきたいと思う。お金って金利とかで増えるような気がするけど、実際は誰かが支払っているんですよね。そもそも金利は銀行が支払っているものだし。

その銀行は何で金利を払えるかというと、それ以上の金利を誰かから受け取っているからです。お金って誰かから来ているものなんですよ。お米なら育てたら増やすことができるけど、お金はそういうものではない。結局それで何が起きるかというと、奪い合いになっちゃう。

「お米が足りない」という問題を解決したいなら、お米自体を作る必要がある。それが、強い資本主義の世界だと「商品を買うことで解決しましょう」になってしまうんです。そうするとみんなが協力できなくなって、分断を呼んでしまう。それを問題意識として強く感じて、この本を書こうと思いました。

目に見えない労力を想像すること
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