Tamiyuki Kihara
[東京 21日 ロイター] - 高市早苗政権が発足半年を迎えた21日、石破茂前首相がロイターの単独取材に応じた。トランプ米政権との向き合い方や混迷が続く中東情勢を念頭に、「高市外交」の半年間を「選択肢が限られる中でよくやっている」と評価した。一方、11月に控える米中間選挙で与党・共和党が敗北するケースを見据え、対米方針の見直しが必要になるとも強調した。
石破氏は高市氏の外交姿勢への評価について、「日本外交はもともとナローパス(狭い道)だ。憲法上も財政上も、軍事的にも非常に選択肢が限られている」と説明。「非常に厳しい制約の中でよくやっていると相対的には言えると思う」と述べた。
一方で、高市氏が昨年11月、台湾有事が集団的自衛権の行使を可能とする存立危機事態に「なり得る」と国会で発言したことや、今年3月の訪米で「世界の繁栄と平和に貢献できるのはドナルド(トランプ氏)だけだ」と述べたことに触れ、「見栄やメンツではなく、日本の国益にかなうかどうかで判断していけば誤解が減るのではないか」と指摘。「今後はもっとうまくやってくれると思う」とも語った。
イラン情勢への対応については、「トランプ政権の立場も立てながら、イランの顔も立てるというすごく難しいもの」だと見つつ、日本がやらなければならないこととして二つの点を挙げた。一つは、「イランに国際原子力機関(IAEA)の査察をもっと広く受け入れるよう促す」こと。もう一つは米、イスラエルとイランの間の戦闘が終わった段階で、国連決議に則った形で「有志連合を結成して機雷掃海やパトロール、船舶護衛に積極的にかかわること」だとした。小泉純一郎政権下の2003年以降、自衛隊をイラク南東部サマーワなどに派遣した際のプロセスを例示した。
持論の「対等な日米関係」に質問が及ぶと、石破氏は「日本は特に軍事的に果たせる役割が非常に少ない。それは日本の選択の幅を狭めているし、日本は本当に独立国なのか、何でも米国の言うことを聞く国じゃないかと世界から見られることにつながっている」と指摘。「私は国会議員になって40年になるが、そういう制約をなるべく外したいと思ってやってきた」とした上で、「なるべく米国とだけではない国際関係を作らないとダメだと思い、韓国、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピンなどアジアの国との関係を強めようとしてきた」と振り返った。「いまの日本は他の国の安全を守ってあげるということは一切できない。そんな国はあまり頼りになりませんな」とも語った。
高市氏は今後の日米関係をどうかじ取りするべきか。石破氏は11月の米中間選挙でトランプ氏の共和党が劣勢に立たされるケースに備える必要があるとし、結果によっては「日本の(対米)方針が左右される」と指摘。共和党と民主党の間で政権交代が繰り返されてきた歴史を念頭に、「想定外を作らないようにするべきだ。どちらか一方にあまり極端な態度をとるのは良くない」と語った。米国にどんな政権が誕生したとしても、「適切な距離を取らなければ国益にかなわない」とも進言した。
石破氏は日本が米国一辺倒の姿勢を改める外交の重要性を改めて強調し、こう締めくくった。「米国の言いなりから逃れることができないという現状をどう脱するか。そういうことに(高市氏が)どれほど意識を持っているか、だ」
高市氏は21日、就任半年を受けて首相官邸で記者団の取材に応じ、「何としても国力を強くしたい。いま始めなければ間に合わない」との思いで働いてきたと述べた。外交力の強化については、国際会議や首脳会談を重ねてきた成果を強調。「かなり歩みを進められた」とした上で、「一歩ずつ国際社会の中で日本の存在感を高めていく。多くの国から信頼され、頼りにされる国であり続けたい」と語った。
(鬼原民幸 編集:久保信博)