Andrea Shalal David Lawder Libby George
[ワシントン 19日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)と世界銀行の春季会合に集まった世界の財政・金融当局者らが痛感したのは、高まる一方の地政学ショックがもたらす経済的打撃への対応を巡る自らの無力感だった。危機解決の面で長らく頼りにしてきた米国の指導力がもはや当てにならないことも思い知らされた。
イラン側が一時ホルムズ海峡を開放したように見えたため、世界の財政・金融当局者は楽観論に傾く場面もあったが、海峡通航船舶が新たな攻撃を受けたとのニュースで明るいムードはすぐに消え去った。
IMFと世銀は、エネルギー高騰で痛手が最も大きかった途上国向けに最大1500億ドルの新たな金融支援の枠組みを導入すると表明。ベネズエラの暫定政権と再び関係を持てるようになったことに喜びの意を示した。
さらに各国には石油の売り惜しみや、燃料価格にむやみやたらと補助を行うことを控えるよう呼びかけた。
ただ結局のところ、IMFと世銀が打てる手は乏しく、トランプ米政権とイランが発信する声明を見守る以外にない状況だった。
シンクタンク、アトランティック・カウンシルの国際経済担当責任者を務めるジョシュ・リプスキー氏は「実のところ世界経済に関する最も重要な決定のいくつかはこの場所(春季会合)で行われていない。最も大事な展開は米国とイランの間で起きている。われわれは朗報を期待し、情勢を注視する(しかない)」と述べた。
サウジアラビアのジャドアーン財務相は17日、多くの春季会合出席者の心境を代弁する形で、ホルムズ海峡の自由で安全な航行が再開され、船舶保険料とエネルギー価格が落ち着いた水準に戻るまでは、安心して状況が改善すると予想はできないと語った。
IMF自身も、今年の世界経済成長率見通しを3.1%に小幅下方修正した矢先に、この見通しは既に古びており、成長率はより逆風が強い2.5%というシナリオに向かいつつあると警告した。
ベセント米財務長官は17日、IMFや世銀、20カ国・地域(G20)にペルシャ湾岸諸国からの供給が途絶した肥料の適切な確保に向けて協調した措置を講じるべきだと訴えたが、米国・イスラエルによるイラン攻撃から7週間が経過した今、北半球で農家の作付け時期を迎えているにもかかわらず、肥料不足と価格上昇への効果的な対策は打ち出されそうにない。
リプスキー氏は、そもそも2020年のコロナ禍や22年のロシアによるウクライナ侵攻といった危機を経て各国は、米国がもはや国際秩序の担い手として必ずしも打開策を提示してくれるわけではない、という教訓を得ていると指摘する。
春季会合に参加した財政・金融当局者らは、トランプ大統領の行動によって再び経済的危機に巻き込まれつつあることに強い不満を示した。
会合の舞台裏では特に欧州の当局者が、ホルムズ海峡再開のために米国が行動を起こす必要があるとの明確なメッセージが米国側に伝えられた、と出席者のある政府高官が明かした。
フランスのレスキュール経済・財務相は記者団に「この紛争のポイントはホルムズ海峡だ。われわれはこれを開通させるべきだが、いかなる代償を払ってもというわけにはいかない。海峡通過のために1ドルたりとも支払いたくはない」と本音をぶつけた。