Howard Schneider Ann Saphir
[ワシントン 17日 ロイター] - イランが17日、原油輸送の要衝であるホルムズ海峡開放を表明し、原油価格が急落したことを受け、米連邦準備理事会(FRB)が早ければ12月にも利下げを再開するとの観測が強まった。ただ、FRB当局者らは月内に予定される連邦公開市場委員会(FOMC)会合を前に依然として複雑な見通しに直面しており、インフレ上昇のリスクを巡り慎重な姿勢を崩していない。
FRBのウォラー理事はこの日、中東情勢が加わると、経済の先行きを予測することは非常に複雑になるとの見方を示唆。中東での戦闘によりインフレが短期的に押し上げられる可能性が高く、金融政策当局は難しい舵取りを迫られるとの認識を示した。
また、ホルムズ海峡再開と原油価格の下落は年内利下げへの下地を整える可能性があるとしつつも、「一連の価格ショックがインフレ高止まりにつながる可能性」を踏まえると、その保証はないと述べた。
一方、中東情勢が早期に収束すれば「基調的なインフレ率は(FRBが目標とする)2%に向かう可能性がある」とし、「現時点では利下げに慎重だが、見通しがより安定する下半期には、労働市場を支援するために利下げに前向きになる可能性がある」との見方も示した。
イランのアラグチ外相は17日、レバノンでの停戦合意を受けてホルムズ海峡を開放すると表明。同氏はXに、イスラエルとレバノンの10日間の停戦期間中、ホルムズ海峡は全ての商船に開放されると投稿した。
この発表を受け、世界の原油価格は89ドルを下回る水準に急落。米政策金利に連動する先物市場はFRBが2027年半ば以降まで様子見を続けるとの見方から、年内に利下げを再開するとの見方に転じた。
ルネッサンス・マクロ・リサーチのニール・ダッタ経済責任者は、FRBは今、原油価格ショックによるインフレ上昇と経済成長の鈍化というスタグフレーションの懸念を棚上げし、インフレ低下という好材料に基づく利下げに踏み切れる可能性があるとの見方を示した。
こうした中、米サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は、ロイターとの最近のインタビューで、紛争の展開や敵対行為が緩和された場合の原油価格の反応が、インフレが足元の水準から低下するとのFRBの確信に影響を与える可能性があると指摘。「原油ショックが起こる前から、われわれにはやるべき仕事があったが、原油ショックによりその仕事に時間がかかるようになった」との見方を示した。
足元では、インフレにここ数カ月ほとんど進展が見られず、方向性を巡る新たなリスクも浮上していることから、FRBは4月28─29日に開かれる会合で金利を据え置く公算が大きい。