[ロンドン 17日 ロイター] - ピーター・マンデルソン氏を駐米大使に任命した問題を巡って、スターマー英首相への辞任圧力が再び高まっている。マンデルソン氏が治安当局による身辺審査で不合格だったにもかかわらず、就任が認められたことが明らかになったためだ。スターマー氏は17日、身辺審査の結果が知らされていなかったことについて、「信じ難い」と怒りをあらわにした。

マンデルソン氏は、少女らの性的人身売買で起訴された後に自殺した米富豪エプスタイン氏との関係が問題視され、駐米大使を解任された。

英政府は16日、マンデルソン氏が同職に就く前の審査で不合格となっていたことを認めた。外務省高官のオリー・ロビンス氏を解任し事態の鎮静化に動いた。しかし、スターマー氏が自ら推進した人事に関する重要な情報を、今週になるまで知らなかったという首相陣営の主張は、その運営体制や首相の統率力に疑問を投げかける結果となった。

スターマー氏は17日、イラン問題を巡る有志国会合のために訪問したフランスで記者団に対し、「適正な手続きが踏まれたと議会で説明していた」最中に、審査不合格を知らされていなかったのは許しがたいと発言。「私に伝えられなかっただけでなく、どの閣僚にも伝えられていなかった。そのことについて私は全く激怒している」と述べた。

辞任するかとの質問に、20日に議会で「関連する事実を明らかにする」と述べた。

米国とイスラエルによるイラン攻撃から距離を置いたことが評価され、マンデルソン氏を巡る批判が一時的に鎮静化していただけに、スターマー氏にとっては痛手となる。3週間後にはイングランドやスコットランド、ウェールズで選挙を控える。

与党・労働党のある議員は、党が今すぐスターマー氏に対する措置に出る可能性は低いとしつつも、マンデルソン氏を巡る騒動は「くすぶり続ける火種」であり、5月7日の地方選挙まで、スターマー氏が圧力を受け続けることを意味すると述べた。別の労働党議員は、審査当時外相を務めていたラミー副首相は辞任すべきだと語った。

一方、貴族院の労働党議員ジョージ・フォークス氏は、「過ちはあった」としつつも、スターマー氏に対する措置に動くのは無謀だとし、慎重さを求めた。ロイターに対して「マンデルソン氏の問題は、他にも多くのことを心配している国民にとって主要な問題ではない」とした上で「首相がうまく対処してきた課題も多い中、物事を適切な視点で捉える必要がある」と述べた。

野党議員らが注目しているのは、スターマー氏がマンデルソン氏の任命時に「審査は完了しており、懸念材料は一切なかった」と議員らに保証した際、故意に議会を欺いたかどうかという点だ。議会が先月公開した、外務省が昨年1月にマンデルソン氏に大使職をオファーした書簡では、マンデルソン氏が審査を通過したことが示唆されていた。

野党・保守党のベーデノック党首は、スターマー氏の弁明を「荒唐無稽」と一蹴。「話に整合性がない。首相は私たちを馬鹿にしている」とBBCラジオ4で語った。

Reuters Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。