太平洋における米軍拠点と中国の標的(マップ)

地理は依然として決定的な要素になる。台湾と向かい合う中国の海岸線には港湾、飛行場、ミサイル基地、鉄道、造船所、工場が並んでいる。

ここから苛烈な開戦シーンを描くこともできる。ミサイルが台湾の防空網に、日本の嘉手納、横須賀、佐世保、岩国、三沢の米軍施設に、さらにはグアム島のアンダーセン米空軍基地に向けて放たれる。空母は東に押し戻され、侵攻艦隊は戦闘機やドローン、長距離火力の傘に守られて海峡を渡る──。

非現実的というわけではないが、このシナリオの弱点は、中国が最初から一気にエスカレーションする道を選ぶという前提に立っていることだ。しかし、先に米軍を公然と攻撃すれば日本など同盟国を結束させることになるリスクは、中国の政策立案者も理解している。

そこで最近は、封鎖や隔離などの段階的な締め付けを、侵攻に付随するものではなく、より現実的な開戦のシナリオとする分析が増えている。

侵攻の展開をフェーズごとにシミュレーションしてみると……。

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PHASE 1 封鎖という非軍事的攻撃

封鎖は破壊行為ではなく行政手続きの形で始まることが多い。海警船による臨検、税関検査、特定の航路は中国の許可なしでは安全ではないという通告。まずこうした締め付けで効果があるなら、わざわざアメリカに開戦の口実を与える必要はない。

さらに、ウォール・ストリート・ジャーナル紙が報じたアメリカの最新の評価によると、中国は2027年までに台湾に侵攻するという期限に縛られてはいないようだ。大規模な水陸両用攻撃に出なくても政治的に台湾を動かせるのであれば、引き続き非軍事的な圧力を優先させるとみられている。

封鎖は台湾の商業の「神経系」に食い込む。保険会社や海運業者、エネルギー取引業者がその航路では通常のビジネスにならないと判断した時点で、効果を発揮する。最近のホルムズ海峡を見れば分かるとおりだ。

サイバー攻撃と信頼の破壊
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