Tetsushi Kajimoto
[東京 16日 ロイター] - 4月のロイター企業調査で、発動から1年が経つ「トランプ関税」の影響を聞いたところ、「今も負の影響が大きい」との回答が22%に上った。37%が対応策を取って影響を軽減したとし、51%がもともと影響がないと答えた。
調査は4月1─10日に実施。調査票の発送企業は492社(資本金10億円以上の上場・非上場企業)で、212社が回答した。
導入した対応策は「米国内での価格転嫁」が34%、「部品の現地調達比率の引き上げ」が17%だった。「米国への生産」シフトと答えた企業も6%いた。対応策を取ったことで15%が影響は減少傾向、12%が影響がなくなったと回答した。
具体的には「顧客の米国外拠点への直納」(ゴム)、「原材料調達先の多様化」(食品加工)、「グループ内での利益配分の最適化」(電機)、「適正料金授受のために顧客との交渉」(運輸)などの答えがあった。一方、「事業撤退」(陸運)に追い込まれた企業もあった。
「米国での直接販売にも影響があるが、この関税は第三国からの間接販売でも影響が出るものなので懸念しかない」(電機)、「円安を活用し、日本からの海外輸出を増やしたいが、関税がその動きを阻害している」(輸送用機器)、「営業利益率の低い食品スーパー事業においては、仕入れ原価の上昇と消費マインドへの心理的影響が懸念される」(小売)、「大手取引先が先行き不透明で、費用を抑える動きが見て取れる」(放送)などの声が出ていた。
トランプ米大統領は2025年4月、10%を最低ラインとする「相互関税」を各国からの輸入品に課した。対米貿易赤字額や非関税障壁を勘案して国ごとに税率を変え、日本に対しては当初24%とし、交渉を経て8月に15%へ引き下げた。米連邦最高裁が今年2月、国際緊急経済権限法を根拠に発動した関税措置は違憲と判断し、徴収済みの約26兆円の返還手続きが4月20日から始まることになった。企業は対応に追われており、「相互関税の還付についても大変面倒なことになっている」(卸売)との声が聞かれた。通商拡大法232条を根拠とする自動車と鉄鋼製品への関税は最高裁判決に含まれていない。
米関税を巡る日本政府のこの1年の対応について聞いたところ、評価できるが29%、評価できないが15%だった。57%が「どちらとも言えない」と答えた。
日本政府は米側と交渉し、5500億ドル(約87兆円、1ドル=159円換算)の対米投融資と引き換えに相互関税を24%から15%に、自動車関税を27.5%から15%に引き下げた。
「上手くいなしたと思う」(ゴム)、「アメリカへの投資で関税率アップを抑えた形だが、日本の経済にとって本当にそれがプラス効果があるのか正直分からない。日本・アメリカ双方良い経済効果を得られることを切に願う」(運輸)、「無茶な要求をされるわけではなく、とはいえ関係が冷えこむわけでもなく、いい距離感を取れていると思う」(輸送用機器)などの声が出ていた。
(梶本哲史 グラフィックス作成:照井裕子 編集:久保信博)