2月末以降、米国が展開している軍事攻撃は、イランの防空網や通信インフラ、軍事拠点を次々と破壊している。これは、イランという国家の軍事力を削ぐと同時に、アルカイダ指導部を長年守ってきた主権という名の防壁を物理的に崩壊させる行為とも捉えられる。

イラン当局による厳格な監視と保護が機能不全に陥れば、アルカイダ指導者は大きな隠れ蓑を失うことになる。かつてテヘランで暗殺されたアブ・ムハンマド・アル・マスリの事例が示す通り、彼らの生存はイランという国家の庇護を前提としていたからである。

現在のトランプ政権による攻撃の主目的は、あくまでイラン政府への圧力と核封じ込めにあり、現政権の関心もその一点に集約されているのが実情であろう。

しかし、以上に述べてきたイランとアルカイダの複雑な力学を鑑みれば、物理的に進行している軍事行動が、図らずも「対テロ・対アルカイダ」という側面を帯びている事実は無視できない。

たとえ政権の直接的な戦略に組み込まれていなかったとしても、イランの軍事・監視インフラを無力化することは、結果としてアルカイダ指導部を長年守ってきた聖域を揺るがすことにつながる。

今日の対イラン攻撃は、国家間の対立という枠組みを超え、国際安全保障上の脅威であるアルカイダへの包囲網を実質的に狭めているという視点もまた、否定し得ない論理として浮かび上がるのである。

【動画】イランがアルカイダと提携してテロネットワークを拡大
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