軍事攻撃が崩す「主権」という名の防壁

一方、2月末以降、イランをめぐる軍事的緊張がこれまでになく高まっている。イスラエル空軍による核関連施設への空爆を皮切りに、米国はペルシャ湾へ空母打撃群を増派し、革命防衛隊の拠点に対する精密誘導弾での攻撃を行っている。

これに対し、イラン側も弾道ミサイルやドローンを用いた報復をイスラエル本土および周辺の米軍基地へ展開しており、軍事的な緊張が収まる気配は見えない。

現在の米国やイスラエルによるイラン攻撃の主な狙いが、イランの核封じ込めと現政権の崩壊にあることは間違いないが、上述の内容に照らせば、物理的に起こっている軍事行動は対イランだけでなく、対テロ、対アルカイダという視点も見えないわけではない。 

イランとアルカイダは、宗派こそ違えど反米という共通の利害に基づき、数十年にわたり戦略的な共生関係を維持してきた。

特に、セイフ・アル・アデルというアルカイダの事実上の最高指導者がイラン国内に滞在し、そこから世界各地の支部へ指令を出しているということは、国際安全保障にとって1つの脅威である。

かつてのアフガニスタンのように公然とした拠点ではないにせよ、高度な監視国家であるイランが彼らを軟禁の名の下で管理・保護してきたことは、アルカイダの中枢機能を事実上、米国の攻撃の手が届かない場所に置いてきたことを意味する。

聖域を揺るがすことに
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