「日本の国民感情も変わってきている」

防衛事業を手がける企業の間でも、武器輸出が他の事業に及ぼす影響への懸念は根強い。一方、日本政府が防衛力増強を進めていることなどを背景に変化もみられる。レーダーや短距離ミサイルなどを手掛ける東芝は、今後3年間で約500人を防衛部門で新規採用し、試験棟と製造施設を増設する。輸出を担当する部署も25年に新設した。

ここ数年は国内外の防衛装備の展示会に積極的に出展し、海外の需要を探るなどしている。ミサイルの完成品も輸出可能になる日本の規制緩和を控え、東南アジア諸国からは防空システムへの関心が寄せられているという。

防衛・電波システム事業部長の小林健児執行役員はロイターの取材に対し、防衛力増強に対する最近の世論調査に言及したうえで、「日本の国民感情も変わってきているのだと思う。レピュテーションリスクを気にしなくていいということはないと思うが、私どもは気にするというよりも、しっかり使命を果たし、事業もやっていこうと考えている」と話した。

23年にフィリピンへレーダーを移転し、日本で最初の完成品輸出の成功事例を作った三菱電機は、シンガポール、英ロンドン、米ワシントンに情報収集要員を配置している。アジアは域内の安全保障環境の変化、欧州もウクライナ戦争の影響を受けて防衛力強化の意識が強く、案件の相談が増えているという。

防衛・宇宙システム事業本部長の洗井昌彦上席執行役員は「政府間で作った案件が落ちてくるよりも、自分たちの得意な技術を最も評価してくれる顧客にシステムを提供したいと思っている。自分たちでも案件発掘はしっかりやっていく」と語った。

両社に共通しているのは、東南アジアでは完成品の輸出、軍需産業が成熟している欧米では現地企業への供給網参画を有望視していることだ。東芝の小林氏は、世界の供給網に入ることが出来れば国外の受注規模は今後5年ほどで自衛隊向けと同程度まで伸びる可能性があるとの見方を示す。三菱電機は国内外合わせた防衛事業の売上高について、30年度には24年度比50%増の6000億円以上を見込んでいる。

特に強い欧州の関心