「国際政治の本流に戻ることは避けられなかった」

武器輸出政策の見直し作業に関わる与党関係者は「最大のポイントは米国に頼らないアジア、オセアニアの防衛サプライチェーンを作ることだ」と話す。「改定が実現すれば、武器は事実上、何でも輸出できるようになる。中国への対抗を考えても、米国の意向に左右されない防衛力を日本とその他の国々で備えることは非常に意味がある」と解説する。

日本は世界の武器市場から隔離状態にあったが、今や年間10兆円の防衛費を計上、潜水艦を含めた艦船や哨戒機、ミサイルなどの完成品、センサーや複合材などの部材を開発・生産できる産業力がある。ドイツの防衛企業タウルス・システムズは昨年5月、改良を計画する巡航ミサイル用のエンジンを求めて川崎重工業と覚書を結んだ。フィリピンはかねてから、中古の対潜哨戒機など海軍力の強化につながる武器供与を日本に打診している。

東京を拠点に防衛産業のコンサルティングを手掛けるネクサス・パシフィックのアンドリュー・コック氏は「日本は第2次世界大戦の影響で『ペナルティボックス』に入れられていた」と言う。「しかし、いずれ国際政治の本流に戻ることは避けられなかった」と語る。

ロイターは日本の首相官邸にコメントを求めたが、三原則の見直しに言及した2月の高市首相の施政方針演説を参照するようにと回答があった。高市氏は演説で「同盟国・同志国の抑止力・対処力強化に資するとともに、わが国の防衛生産基盤や民生技術基盤の強化にもつながる」と語っていた。米ホワイトハウスの報道官は、日本の武器輸出政策の変更に関する質問には回答しなかったが、両国の関係はこれまでになく緊密だと述べた。

東南アは完成品、欧米は供給網参画

課題の1つは、日本企業の多くが武器輸出への関与に慎重なことだ。

ラトビアのズィグマールス・ズィルガルヴィス駐日大使は、23年に同国のVRカーズ社が軍用車両向けエンジンをトヨタ自動車の子会社から調達しようとした件に言及した。ラトビア当局が仲介を試みたが、取引は成立しなかった。特殊車両を手掛けるトヨタカスタマイジング&ディベロップメント社はロイターの取材に「当社の事業範囲と方針に照らし」、軍用車両に関する依頼には対応できないと判断したとコメントした。VRカーズは、トヨタ側の判断を尊重すると回答した。

「日本の国民感情も変わってきている」