これらの理由から今回の危機は、いくつかの重要な構造変化を加速させることになる。
その変化とはアジアの輸入国によるエネルギー取引のドル離れ、そして気候変動対策だけではなく安全保障上の要請も含めたエネルギー転換の加速だ。さらに、中国が国際秩序のもう1つの軸として影響力を拡大することも予想される。特に中国の地政学的な同盟を前提としない経済パートナーシップは、グローバルサウスの国々に以前より受け入れられるだろう。
いま必要なのは、この戦争に持続的な解決をもたらす政治的指導力と、新興国が最悪の事態を回避するための先回りの経済支援だ。今回のショックが吸収可能なものにとどまるか、それとも長期的な開発損失に発展するか。緊急の流動性供給、債務救済、IMFや国際開発金融機関による協調的支援の有無が、それを左右することになるだろう。
この危機はまだ封じ込めることができる。だがそのためには市場の調整に委ねるだけでは不十分であり、持続的かつ勇気ある政治的リーダーシップが欠かせない。
2026年4月21号(4月14日発売)は「台湾有事の新シナリオ」特集。
米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由
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