Howard Schneider

[ワシントン 8日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が8日に公表した3月17─18日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、FRBの2%目標を上回る水準で高止まりするインフレに対抗するため、利上げが必要になる可能性があるとの認識が高まっていたことが分かった。2月に始まった中東での戦争⁠によるインフレへの影響を踏まえたとした。

議事要旨によると、「一部の参加者は、インフレが目標を上回る水準で高止まりする場合には、フェデラルファンド(FF)金利の目標レンジを上方調整することが適切となる可能性を反映するため、FOMC後の声明で今後の金利決定について双方向的な表現を使用することに強い根拠があると判断した」と述べた。

FRBは2024年から利下げを続けており、声明の文言は⁠今後さらなる利下げへの傾きを示すものとなっていた。こうした文言は3月会合でも最終的に維持された。

ただ、3月の議事要旨では、潜在的な利上げに前向きな参加者の層が、1月会合に比べて⁠拡大していたことが示された。1月会合では「数人」の当局者が金融引き締めの可能性に含みを持たせるにとどまっていた。交戦開始後の3月会合では、「多くの参加者が、原油価格の持続的な上昇を背景に、インフレの高止まりが想定以上に長引くリスクを指摘した」という。インフレ期待の高まりや、エネルギー価格の上昇がコアインフレ全体に波及するリスクを懸念する声も上がった。

エネルギー価格の高止まりが続いた場合、「投入コストの上昇がコアインフレに波及する可能性が⁠より高まる」と議事要旨は指摘した。また「数年来インフレが目標を上回って推移してきたことを踏まえると、長期的なインフレ期待がエネルギー価格の上昇に対してより敏感になる⁠可能性が⁠ある」との見方も示された。さらに「2%目標に向けた進展は従来の想定より遅れる可能性があり、インフレが目標を持続的に上回るリスクが高まったと判断した」と記した。

FRBは3月会合でFF金利誘導目標を2会合連続で3.50─3.75%に据え置くことを決定した。

ただ、インフレリスクにもかかわらず、「多くの参加者」は引き続き利下げが基本シナリオの一部とし、「大半の参加者」はイラン交戦が長期化すれば経済成長への打撃となり、さらなる利下げが正当化されると判断していた。

議事要旨は「大半の参加者は、中東での紛争が長期化すれ⁠ば労働市場環境がさらに軟化する恐れがあり、追加の利下げが必要になる可能性があるとの懸念を示した。原油価格の大幅な上昇が家計の購買力を低下させ、金融情勢を引き締め、国外の成長を鈍化させる可能性がある」と記した。

3月会合での当局者間の議論からは、イラン交戦に伴う海上輸送の混乱による原油価格の急騰を受け、FRBの2つの責務である物価安定と完全雇用について、互いに反する方向へのリスクがあることが浮き彫りとなった。

FRBは3月会合で、インフレと雇用市場のいずれへの影響がより大きなリスクとなるかが明確になるまで、政策金利を変更する可能性は低いことを示唆。経済見通しでは、今年のインフレ率の上昇を見込む一方、失業率はほとんど変化がな⁠いと予測した。

会合でのFRBスタッフのプレゼンテーションでは、「中東情勢の展開、政府の政策変更、AIの普及」の潜在的な経済的影響を踏まえ、経済・雇用の成長が1月見通しより弱まり、インフレは上振れるリスクがあるとの見方が示された。

2021年以来インフレが目標を上回って推移してきたことから、「顕著なリスクとして、インフレがスタッフの想定より粘着性を示す可能性がある」とも指摘された。

議事要旨発表後、金利先物市場では、年内の利下げ予想をやや後退させたものの、利上げ観測はわずかにとどまっている。投資家は少なくとも2027年まではFRBが政策金利を据え置くと予想している。

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