監督はフランクリン・J・シャフナー。本作を監督する3年前に『パットン大戦車軍団』を撮っているが、僕は(この時点では)見逃している。
脚本はダルトン・トランボ。共産党員だったことを理由に仕事を奪われ、投獄までされた10人「ハリウッド・テン」の1人。ただし、この時期の僕はトランボの名前を知らない。ちなみに刑務所の指揮官役で、トランボは一瞬だけカメオ出演している。反骨を下敷きにした遊び心が嬉しい。
監督にも脚本家にも主演にも当時は興味がなかったのに、なぜ10代後半の僕は、劇場に足を運んだのか。
お目当ては共演のダスティン・ホフマンだった。
『卒業』でまずは衝撃を受け、その後に観た『真夜中のカーボーイ』で薄汚いホームレスを演じるホフマンに圧倒された。当時の日本の俳優ならば、清純派はずっと清純派だし演技派はずっと演技派だった。つまりイメージを裏切らない。
ところがホフマンは毎回イメージを裏切る。それも軽やかに。当たり前じゃないか俳優なんだから、とでも言いたげに。もちろん『パピヨン』で演じた小悪党のドガも同様だ。
暗い監獄シーンが続くからこそ、老いたパピヨンが海に飛び込むラストの解放感は、そこに重なるジェリー・ゴールドスミスのテーマ曲と相まってとても印象的だ。
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