自動車産業の技術の最先端からじりじりと後退しつつある日本。この現状はもはや無視できない。
ホンダは3月中旬、北米向けバッテリー式電気自動車(BEV)3車種の開発と発売を中止し、再度ハイブリッド車に注力する方針を発表した。これは1社の戦略ミスにとどまらず、より根深い国家的な病弊が招いた事態だ。
世界の自動車産業の構造を一変させた日本が今や脇役に転じようとしている。他国、特に中国が次世代モビリティー開発、さらにはクリーン技術の多くの分野をリードする現実を指をくわえて眺める立場になりかねない。
日本は今でも世界トップクラスの技術を誇り、電池や部品、ロボットを生産している。
問題は戦略にある。ネックとなっているのは過去の技術(内燃エンジン、ハイブリッド車、それに未来型とはいえ見込みの薄い水素燃料電池車もここに加えよう)の漸進的な改善のために最適化されたシステムだ。そのために日本は技術転換で後れを取り、急速に進むBEVの低価格化と、ゼロエミッションを目指す規制強化(特に中国とEU)の流れを見誤ったのだ。
大々的に報じられたホンダのEV撤退は、そうした失敗の象徴にすぎない。
ホンダはいくつもの圧力を受けていた。水素燃料に未来を託す政府の方針がもたらす長年にわたる圧力、最近のトランプ政権による関税の圧力、国内外で熾烈さを増す中国のEVメーカーとの競争の圧力。こうした重圧下で、新興のライバルに北米市場でEVで勝負を挑んでも勝ち目はないと判断し、内燃エンジンとハイブリッド車に回帰したのだ。