『ウエスト・サイド物語』61年公開の映画版でも、シャーク団の多くを肌を茶色く塗った白人俳優が演じた
③『ウエスト・サイド物語』61年公開の映画版でも、シャーク団の多くを肌を茶色く塗った白人俳優が演じた EVERETT COLLECTION/AFLO

『ウエスト・サイド物語』も、人種的寛容への願いを強く打ち出した作品だ。シェークスピアの『ロミオとジュリエット』を下敷きに、舞台を50年代ニューヨークに移し、東欧系とプエルトリコ系、異なるルーツを持つ2つのギャング団の抗争が描かれる。

プエルトリコ出身のシャーク団がよそ者扱いされる一方、警察は東欧系のジェット団の肩を持つ。そんな中、元ジェット団のトニーとシャーク団のリーダーの妹マリアは恋に落ち、融和を夢みるが、激しい抗争の末に2人の夢は崩れ去る。

同作の作曲家レナード・バーンスタインが「人種的寛容への果てなき願い」と制作ノートに記したとおり、差別や憎悪の不毛さを訴えるストーリーだ。だがシャーク団を白人俳優が演じたことや、プエルトリコを「醜い島」と歌うなど、表現の偏りは否めない。

"America" - West Side Story on Broadway

2度の映画化で歌詞や配役が見直されてきた事実は、フィクションが時代とともに再解釈され続けることを物語る。

戦時下の愛国心と痛み