『ミス・サイゴン』で米兵クリスを演じる山崎育三郎
2012年には『ミス・サイゴン』で米兵クリスを熱演 写真提供:東宝演劇部

──つらい時も波に乗る時も、山崎さんの心を捕らえ続けたミュージカルの魅力とは?

オペラなら歌、演劇なら芝居、バレエなら踊りで表現するが、ミュージカルは歌・踊り・芝居の3つ全て、三刀流が求められる。あらゆるエンターテインメントを勉強し、努力を重ねた俳優たちが、言葉では伝え切れない大きな想いや感情を歌に乗せる。

俳優が歌い出した瞬間に2000人の観客が静まり返って、作品の世界にグッと引き込まれていく。どれだけ娯楽が増えてデジタル技術が発達しても、生の音楽の力は、過去も未来も唯一変わらない。

一方で、ミュージカルには古典芸術とは一味違う「時代とともに変化していける」という魅力がある。その時々の社会や流行、政治的な内容が脚本に色濃く反映されたり、音楽にロックやラップが取り入れられたりするのも、最大の魅力だと思う。

──時代とともに変化し、時代を超えてロングラン公演される作品も多い。

そう。20年、30年続く公演もあり、『レ・ミゼラブル』など世界50カ国以上で上演され続ける作品もある。もしかしたら、あらゆるエンターテインメントの中でビジネスとして一番大きいのはミュージカルかもしれない。

ヒット作を生むためにニューヨークに投資家が集まり、トニー賞獲得作に世界中から声がかかり、映画化やCD化され広がっていく。ビジネスチャンスと夢が詰まっている。

日本では「なぜ突然歌い出すのか」と考える人も多いが...