山崎育三郎
PHOTOGRAPHS BY MAKOTO ISHIDA FOR NEWSWEEK JAPAN, HAIR & MAKEUP BY MIHO MATSUBARA, STYLING BY TAKASHI YAMAMOTO

──留学先ではミュージカルを見る機会にも恵まれた?

いえ、日本人が1人もいないミズーリ州の田舎の学校を選んだので、そんな機会はなかった。日本人どころかアジア人は僕1人だけ。登校初日から囲まれ、やじられ、突き飛ばされて激しく差別された。

友達もできず萎縮して身を潜める生活が3カ月ほど続いていたとき、廊下で目にしたのが金曜夜のダンスパーティーのポスター。これに参加したら何かが変わるんじゃないかと直感した。

そして当日、500人くらいの生徒が輪になって踊る会場で、勇気を出して真ん中に走り出て1人で踊った。ヒップホップの曲を、ミュージカルで経験したジャズダンスで。

そうしたら「IKU!」コールが起こり、曲が終わるとみんながハグしたり喝采を送ったりしてくれた。それ以降は学校中で認められる存在になり、全てが1日で変わったと思う。踏み出すまでは怖かったが、自分が怖いと思うところにしかチャンスは生まれない──そう実感した。

──再びミュージカルの舞台に立ち始めたのは?

19歳になり、体も成長して声が安定してきた頃、帝国劇場で上演される『レ・ミゼラブル』のオーディションに挑んだ。約2万人の中からマリウス役に抜擢されたのが「大人としてのデビュー」になった。スタートラインに立てたという感覚だった。

ミュージカルは「三刀流」が当たり前?