──この映画を通して日本の観客に伝えたいことは何か。
この映画はアメリカ系イスラエル人の家族の物語だが、同時に危機の中で意見が分かれる家族を描いた物語でもある。そういう意味で、非常に普遍的な話だと思う。既に20カ国以上で上映されているが、多くの観客がイェフダ一家の経験に触れることで心の防御が解けたと語ってくれている。
──アメリカとイスラエルで反応の違いはあったか。
映画制作の前、多くの人から「この映画を作れば両側から批判され、抗議され、嫌われる」と言われた。しかし実際にはそうなっていない。もちろん中には怒りを示す人もいる。
しかし、25年のベルリン映画祭で上映した際、最初に質問したのはレバノン人男性だった。彼は「この家族は暗闇の中の光を見せてくれた」と言い、壇上に上がってイェフダの家族を抱き締めた。このようなことは何度もあった。心の壁を壊すことが可能であることが証明された瞬間だ。
イスラエルでの上映も不安だったが、テルアビブのオペラハウスは1500人で満席になり、映画の途中で何度も拍手が起きた。イェフダが「ネタニヤフはキブツ住民のことを気にしていない」と言う場面では会場全体が拍手に沸いた。
批判が全くなかったわけではない。学校での上映では、「この映画は有害だ」と抗議する保護者もいた。しかし、私たちはそうした不快さや衝突とも向き合わなければならない。そこからしか対話は始まらないからだ。
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