リモートワークで仕事継続
南アフリカでは犯罪と失業が深刻な問題となっている。公式統計局の最新のデータによると、黒人の失業率は35%であるのに対し、白人では8%だ。
昨年発表された警察統計でも、白人より黒人の犠牲者が多かった。トランプ氏が「白人に対する迫害」の一例として主張する農民の死亡事件についても同様の結果だ。この件を巡ってトランプ氏が提示した写真や映像についてロイターが調べたところ、文脈から外れて引用されたり、事実とは異なっていたりすることがわかった。
それでも統計局は2001年以降、単純計算で50万人の白人が流出し、うち9万5000人は21ー26年に流出したと推定している。帰国者に関する定期的なデータはないが、統計局の分析によれば22年に2万8000人が帰国し、うち52.9%(約1万4800人)が白人だったとみられる。人材派遣会社「DNAエンプロイヤーオブレコード」のアントン・ファンヘールデン最高経営責任者(CEO)によると、帰国を希望する南アフリカの白人からの問い合わせが過去6カ月で70%急増したという。ヨハネスブルクの人材紹介会社「ホームカミングEx」のエンジェル・ジョーンズCEOも24年以降、問い合わせが約30%増加したと述べた。
コロナ禍以降に急増したリモートワークも流れを後押ししている。ロイターが取材した帰国者のうち3人は、海外で得た仕事を続けていた。
ファンヘールデン氏によれば、専門職に就く南アフリカ人の多くは自宅に大規模な民間警備員を配置し、犯罪リスクを最小限に抑えているという。
「安全な環境で生活できる余裕があれば、北半球の多くの場所よりもはるかに良い生活が送れるだろう」
帰国者の中には、離れていた間に南アフリカの暮らしが改善したと受け止める人も複数いた。かつては毎日のように起きていた停電も、ほとんど解消されたという。
昨年12月、妻と子ども2人と共にオランダから帰国したエンジニアのユージーン・ヤンセンさん(38)は、知り合いの帰国者らの間で前向きな見方が広がっていると語る。
「皆、国が良くなりつつあると感じている」

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