パナソニックEW社のDEI推進室室長、栗山幸子
先進他社に話を聞くなどもし、試行錯誤してDEIを推進してきたパナソニックEW社のDEI推進室室長、栗山幸子 Newsweek Japan

女性管理職からも「なぜ女性だけ」と戸惑いの声

女性は管理職になりたがらない、女性は家庭との両立が難しい......というように、かつては「女性本人の問題」として語られることが少なくなかったと栗山は言う。

しかし実際には、制度や風土の問題も大きかった。

例えば同社では、管理職登用のタイミングが年に1回、4月のみだった。優秀な女性であっても、産休や育休と重なると昇格できないケースがある。そのため昇格機会を4月と10月の年2回に改めたという。

マインドを変えることも重要だ。女性対象のキャリア開発研修やワークショップには以前から取り組んでおり、最近は毎年、40~50人の女性が研修を受けている。そこでさまざまなロールモデルを目にする機会が増え、女性たち自身が「私も昇格したい」と手を挙げるようになってきた。

女性向けの研修には上司のセッションも必ず組み込み、本人だけでなく、上司側の意識とマネジメントのあり方も変えていった。栗山の説明を聞くと、DEIの意義を社内に浸透させるために、きめ細やかな研修と制度設計を行っていることがよく分かる。

栗山の記憶に強く残っている出来事がある。部長や課長など、女性管理職を80人近く集めたカンファレンスを開いたとき、グループディスカッションをしていた女性たちから「こんなに気楽だと思わなかった」といった感想を聞いたという。

これまで各々の職場で女性は少数派で、発言するときも「女性だから感情的だと思われないかな、図々しいと思われないかな」といった意識が働いていたのだ。男性も少数いたが、女性が大半のカンファレンスだったから、そんな遠慮をする必要がなかった。

また、そのカンファレンスの案内を出したとき、「なぜ女性だけ集めるんですか。私たちは(性別に関係なく)実力で今の役職になったのに......」という反応もあったという。その反応に栗山は、「皆さんが頑張ってやってきたことは間違いないけれど、次の世代にバトンを渡すために、ぜひ参加してもらいたい」と長いメールを送って説得し、賛同を得た。

「日本人男性の正社員」というマジョリティ