これらの作品がほぼ同時に非英語圏から登場したことは、偶然ではないはずだ。それは現在の世界の映画ビジネスの構造の変化を反映している。ハリウッド映画の後退である。

20世紀初頭から映画文化の中心は米ハリウッドで、映画やテレビ番組の流行はここで生まれて世界に広がっていった。しかし、近年その勢いに陰りが見られる。中国の『ナタ』のように、現地作品がハリウッド大作より大きなヒットになるケースが各国で目立つ。日本でも洋画の不調が指摘されるようになって久しい。

理由の1つがハリウッドスタイルの画一化されたテーマに物足らなさを感じる人が増えていることだろう。例えば日本アニメの複雑なストーリーには新しさを感じる。グローバル時代に日本アニメのようなローカル色の強い作品がむしろ普遍性を持つ不思議な現象を引き起こしている。

『鬼滅』と『KPOPガールズ!』には、もう1つ共通する面白い点がある。いずれの作品もソニーグループ制作であることだ。ソニー・ピクチャーズはハリウッドメジャーの一角だが、長年メジャーの下位に甘んじてきた。ディズニーのアニメーションやマーベルヒーロー、ワーナー・ブラザースのDCヒーローのような強力なフランチャイズ作品やブランドがなかったことが理由だ。そこで日本アニメやKポップなど、これまでニッチとされてきたジャンルを積極的に取り上げる決断が可能になった。その結果、新しい映画ビジネスの潮流をいち早くつかんだ。

世界の映画産業の変化を意識せよ
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