食料や日用雑貨、生鮮品を配達する場合、悩ましい要素はほかにもある。配送コストは商品の重量とサイズに比例するため、ドッグフード20キロ入りの大袋やペーパータオル12個パックを配達するのは、業者側にとっては割に合わない場合がある。加えて青果類や肉類の取り扱いには細心の注意が必要になる。

だが実店舗は、もともとそんな問題とは無縁だ。顧客が時間とエネルギーを費やして店まで来て、商品を自分の手で家に持ち帰ってくれる。業者は配送にかかる手間や労働力を削減でき、効率を高められる。アマゾンのホールフーズ買収で何が可能になるか想像してみよう。

アマゾンで注文したホールフーズの食品から本や靴下、ガーデニング用品まで、受け取りは全て仕事帰りに立ち寄る自宅近くのホールフーズの店舗で。ついでに、アマゾンで買ったジャケットを店で返品しよう――。ホールフーズは、アマゾンの2つ目のユーザーインターフェースになるのではないか。

【参考記事】アマゾンのホールフーズ買収は止めるべきか

今のところ、アマゾンはラストワンマイル配送に絡むコストを自ら負担している。だが便利な場所にある快適な店舗を「ピックアップ拠点」として利用する流れをつくれたら、今後はそうしたコストを顧客側に転嫁することができるだろう。

つまり、アマゾンは高級スーパーチェーンを買収しただけではない。顧客に「配送」をお任せする道を切り開こうとしているのだ。

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