そういう視点でタケコプターの妄想を読み返すと、実はもう世の中に存在している、ということに気づく。ドローンだ。急速に普及したため規制ができた点や、安全性やプライバシーの問題も非常に似ている。そして、物流業界では実用化に向けて進んでいる。

藤野氏によれば、「ドラえもんのひみつ道具は実質的に、すでに現実化している」。夢のようなほん訳こんにゃくにしても、すでに多くの自動翻訳サービスやアプリが登場しているし、誰もが瞬時に世界中の情報にアクセスできるインターネットは、まさにどこでもドアだ。

もちろん、ドローンで通勤はできないし、藤野氏の妄想とは反対に、インターネット通販の拡大で運輸業界は別の悲鳴をあげている。妄想に「正解」はないのだ。正解を見つけることが目的なのではなく、それを探す旅そのものが目的であり、投資の面白さだと藤野氏は繰り返す。

本書は、2010年に刊行された書籍を下敷きとしたリニューアル版だが、キーワードの解説やコラム、イラスト、グラフも交えて解説。「投資家脳」をつくっていく上で、格好のテキストとなりそうだ。

現代社会の変化のスピードは速い。日常的に妄想を膨らませる癖をつけておくことは、時代に取り残されないためのスキルにもなるかもしれない。

【参考記事】今さら聞けない、円高になると日経平均が下がる理由


『藤野さん、「投資」ってなにが面白いんですか?』

 藤野英人 著

 CCCメディアハウス

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