<投資家がいちばん楽しんでやっているのは、実はビジネスシミュレーションという"妄想"――カリスマ・ファンドマネジャーの藤野英人氏が説く「投資家脳」のつくり方とは?>
2014年から始まったNISA(少額投資非課税制度)や、今年から対象者が大幅に広がったiDeCo(個人型確定拠出年金)を利用して、株式投資を始める人が増えている。どちらも、個人資産をなんとか投資へ向けさせたい政府の意向による政策だ。
日本の家計の金融資産総額は、2016年末に1800兆円を突破して過去最高を更新した。このうち市場に流れ込んでいる資産は、株式等と投資信託を合わせて15.4%の280兆円(2017年3月末時点)。前四半期から約7.5%の増加となった。
だがその一方、現金・預金の全体に占める割合は51.5%で、金額にすると実に932兆円。しかも、2.3%という伸び率は過去最高だった。
これに対してアメリカでは、株式等の割合が最も大きく35.4%、投資信託の10.7%と合わせると46.1%にも上る。現金・預金の比率はわずか13.9%。ユーロエリアでも、現金・預金は34.6%で、株式等と投資信託は合わせて24.9%となっている(日本銀行資料より)。
あの「ひみつ道具」で投資家思考になる
現金が金融市場に回らなければ経済は活性化しない、このままでは日本経済は立ち行かなくなる、もっと投資の素晴らしさを知ってほしい――そんな思いで10年以上前から日本全国を巡り、日本の株式市場の発展に努めている「カリスマ・ファンドマネジャー」がいる。
レオス・キャピタルワークス代表取締役社長兼最高投資責任者の藤野英人氏だ。
本書で藤野氏は、投資の面白さを一般読者にわかりやすく伝えるために、ある秘密兵器を使っている。それは、ドラえもんの四次元ポケットから次々と飛び出してくる「ひみつ道具」だ。
誰でも一度は「『タケコプター』で空を飛んでみたい」「いまここに『どこでもドア』があったら!」と思ったことがあるだろう。もし本当にタケコプターやどこでもドアが実現したら、あんなことやこんなことをしてみたい、そうすればあんな変化やこんな事態が起きるかもしれない、といった妄想を膨らませたはずだ。
藤野氏は、そうした妄想こそが投資の醍醐味であり、経済や社会の変化を予測する「投資家脳」を育てることになる、と説く。
妄想:もしタケコプターが実現したら?
ひみつ道具の妄想が、投資とどう関係があるのか? ひみつ道具の代名詞と言える「タケコプター」が実現した世界について、藤野氏は次のように妄想している。
まず、タケコプターの実現によって、電車通勤をやめて「タケコプター通勤」をする人が増える。すると朝の空が大渋滞になり、政府は慌てて空の交通規制を始める。そのうち飛行ルールが敷かれて免許制になり、「タケコプター教習所」ができるだろう。
イノベーションが起きれば、新たなビジネスチャンスも生まれる。空中での事故を補償する「タケコプター保険」が登場し、損害保険業界に特需が発生。さらに、空からの家宅侵入というトラブルに対処すべく警備会社が新たなサービスを始め、物流業界では「タケコプター便」が人気を集める。当然、関連する業界の株価は上がるはずだ。