<老人だけが残された村々では、木材や製紙原料となる燃えやすいマツやユーカリが大量に植林されている>

私はスペイン北西部ルーゴ県を拠点に、過疎化と環境問題の関係を調査するプロジェクトに取り組んでいる。

過疎化が始まったのは1960年代頃。それ以前はほとんどの土地は農地であり、周囲に広がる自生の森林は山火事を食い止める防火帯としての役割を果たしていた。

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だが村々で過疎化が進むと老人が残されて、人口構成だけでなく、土地の構成も変わった。耕作放棄地に政策の後押しを受けた林業者が入り、木材や製紙原料の調達のためにマツやユーカリを大量に植林。共に燃えやすい樹木で、つまり過疎化と山火事は密接につながっている。

今回の撮影地であるルーゴ県は欧州の中でも、山火事が頻発する地域だ。大企業は住む人のいなくなった土地への植林や風力発電所設営を狙い、防火帯や農地が消失している。

零細農家による長年の伝統的な営みは、環境と調和していた。だが強欲な市場がそれに終わりを告げ、こうした環境問題を引き起こしている。

――アドラ・パジョン(写真家)

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ア・フォンサグラダの村にある住宅と農場。1、2軒の家を核にした領地が数キロごとに点在する独特な土地柄だ(22年2月)
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ホセ(87)は姉の面倒を見ながらルーゴ県アンカーレスに暮らす。「若い頃は孤独でふさぎ込み、病気にもなった。みんな村を出て、結婚相手もいない」。毎日の楽しみは牛との散歩だ(22年5月)
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カストロ・デ・レイの町に独りで暮らすサルバドル。高齢のため体の自由が利かず、階段を下りるのにも一苦労(22年6月)
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朝目覚めて、床に足を下ろす90歳のアリシア(21年7月)