――では高校生のときは頭でっかちなコンピューターおたくではなかったのか。

 スタンフォードに入学したその週に、初めて自分のコンピューターを買った。電源の入れ方からマウスの使い方まで教えてもらわなくてはいけなかった。多くの人は最初からマウスをうまく使えるのにね。1年生の後期に初めてコンピューターサイエンスの授業を取り、シンボリックシステムズというとても風変わりな専門課程に出合った。哲学と認知心理学、言語学、それにコンピューターサイエンスを混ぜ合わせたような科目よ。

――女子学生はあなた1人だけだったのか。

 コンピューターサイエンスの上級クラスではそうだったと思う。私は学内紙スタンフォード・デイリーを愛読していたのだけれど、ある日私のお気に入りのコラムニストが「キャンパス名物」の人々について書いていた。いつも広場にいて誰かが近くを通ると奇声を発する人など、誰もが知っているけれど名前は知らない人たちのリスト。

 くすくす笑いながらそのリストを読んでいたら、「コンピューターサイエンスの上級クラスにいるブロンドの女性」とある。最初は誰だろうと思ったけど、「やだ、私のことじゃない!」と気が付いた。自分がちょっと変わっていると気が付いたのはそのときだと思う。

――この業界で、男性なら多分直面しないような問題にぶつかったと感じたことはあるか。

 全然ない。とても大きなサポートを得ていると思う。スタンフォードで私の指導教員だったエリック・ロバーツ教授(コンピューターサイエンス)は本当によく気に掛けてくれて、こう言ってくれた。「君は本当にこの分野で優れている。きっと大成功するだろう」って。

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