これに対し鳥貴族は、禁煙もしくは分煙を実施している店舗は5月末現在で計26店舗とごくわずか。しかも、その多くは他県より厳しい受動喫煙防止条例がある兵庫県や神奈川県の店舗である。他チェーンに比べると禁煙・分煙化に積極的な姿勢とは言えず、実際、広報担当者が昨年「全席禁煙にする予定はない」と週刊新潮の取材に答えている。

山下氏に尋ねると、今後は「顧客志向や社会情勢・法令改正の動向を勘案しながら、当社をご利用されるお客様全員に快適にお過ごしいただけるよう、じっくりと検討していきたい」とのことだが、池袋北口店で見た限りでも喫煙者の割合は低くはなさそうで、経営上の判断もあるのだろう。

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総合居酒屋より専門居酒屋の時代

もうひとつ、鳥貴族の勝因に挙げられるのは鳥料理に絞った専門性だろう。他チェーンの多くは多彩な食材による総花的なメニューを展開する、いわば"総合居酒屋"だ。多岐にわたる仕入れや調理の煩雑さなど、原価率やコストの差はかなりのものになる。低価格・均一料金の「居酒屋戦争」ではこの点も足かせになったに違いない。

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手間はかかっても、焼き鳥の質を維持するため、各店舗で1串ずつ串打ちしているという

一見すると、"専門居酒屋"には客層を限定してしまう危険性もありそうだが、串揚げを専門とする「串カツ田中」や、魚介類の磯焼きを専門とする「磯丸水産」の近年の興隆も、鳥貴族の選択が正しかったことを証明している。山下氏によれば、今後も鳥料理専門を貫き、また他の大手居酒屋チェーンのように、複数の居酒屋ブランドを展開する計画もないという。

「現在の出店は年間100店ペースを続けており、2021年には関西・東海・関東の3エリアで1000店舗という目標を掲げています。その後は、北海道や九州など他のエリアへの展開を想定しており、将来的には国内で2000店までは出店が可能だと思っています」と、山下氏は胸を張る。

快進撃を続ける鳥貴族だが、懸念すべき点があるとすれば、鳥料理一筋という武器が一転、客の飽きを招く可能性かもしれない。とはいえ、半年に1回はシーズンメニューを入れ替え、食材すべてを国産に切り替えて安全性を高めるなど、その対策に余念はない。あるいは、外的要因としては受動喫煙防止対策か。厚労省案どおりの法案が制定されれば、バーや居酒屋には約6500億円のマイナスの影響が出るとの調査結果もあり、そうなれば、さすがの鳥貴族も影響は免れないだろう。

しかし「居酒屋戦争」を勝ち抜くなど、これまでもブレない信念で発展を遂げてきたのが鳥貴族だ。飛ぶ鳥を落とす勢いで羽ばたき続けるその姿の、行き着く先に注目したい。

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