有毒物質あふれる洞窟で何を食べている?

このクモたちの生存は、きわめて繊細な地下の生態系に依拠している。彼らの獲物は刺さないユスリカだ。

そのユスリカは洞窟の壁を覆う白い粘膜状の微生物、硫黄酸化細菌が形成するバイオフィルムを食べている。

硫黄を多く含む地下水の小川は、自然の泉を水源としながら洞窟内を蛇行して流れ、硫化水素を放出している。ほとんどの生命にとって命に係わるほど危険な硫化水素のガスが、バクテリアからユスリカ、さらにクモへとつながる食物連鎖を支えている。

クモ恐怖症の人にとっては、真っ暗な場所で11万1000匹ものクモが協力して動いているのは、まるでホラー映画の一場面のように感じられるかもしれない。

しかし、科学者にとっては、地球上でも特に過酷な環境の中で、生命がどのように適応し、繁栄しうるかを示す貴重なサンプルなのだ。

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