この映画が核軍縮、さらには核廃絶を目指す議論のきっかけになるには、リアルな描写で「今そこにある危機」を観客に伝える必要がある。そして核の存在が常態化した現状に揺さぶりをかけるには、世界中のできるだけ多くの観客に働きかける必要がある。

核の脅威は国境を超えた議論が求められるからだ。この映画が一部劇場での公開後、動画配信サービス世界最大手のネットフリックスで独占配信されたのはそのためでもある。

「特定の国や地域だけの問題ではないから、ネットフリックスのグローバルな配信網が最適だった」と、ビグローは語る。

世界中の観客にこの映画を見て、核について考えてもらいたい──ビグローはその一心で製作に取り組んできた。彼女が観客を尊重し、信頼しているのは明らかだ。

観客は、ただ受け身で娯楽コンテンツを消費するだけの存在ではない。変化を巻き起こす力を秘めた主体的な参加者でもある。この映画は観客に答えを与えない。答えを考え、行動を起こすのは観客の仕事だ。

「私の願いは、この映画が『問い』の機能を果たし、観客がそれに答える機会を持つこと」と、ビグローは言う。

「彼らはボールを前に進めてくれるのか? 挑戦を受けてくれるのか? それこそ、この映画が投げかける問いだ」

<記事後半はこちら:リアルすぎる核スリラー『ハウス・オブ・ダイナマイト』が暴く、抑止神話の脆さ

【動画】『ハウス・オブ・ダイナマイト』予告編 - Netflix
【関連記事】