なぜ、パンジーはそんなに不機嫌なのか。あまりにも怒りが大きくて、ほかの感情が出てくる余地がないのか、それとも、ほかの感情を思い出したくないから怒り続けているのか。

やがて、その問いに答える手掛かりらしいものが見えてくる。それはパンジーがメンタルヘルスに問題を抱えていることを示唆するが、彼女は治療を受けることはもちろん、自分が問題を抱えていることも認めない。

残酷なほど対照的な妹

パンジーは、夫のカートリーとはほとんど会話がなく、肥満気味の息子モーゼスが自室にこもっていれば文句を言い、散歩に行くと言えば嫌みを言う。そのモーゼスは、散歩に行くと顔見知りの若者2人に巨体をからかわれ、小突き回される。

パンジーの妹シャンテル(ミシェル・オースティン)の暮らしは、それとは対照的だ。

夫はおらず、裕福ではないが、勤め先の美容院では常連客と世間話に花を咲かせ、成人した娘2人と過ごす時間は、弾丸トークとジョークと笑いにあふれている。

娘たちは、仕事先で新商品の企画を冷たく却下されたり、大勢が関わるミスを厳しく指摘されたりと、それなりに苦労がある。だが、嫌なことがあっても慰め合い、笑い飛ばし、立ち直る感情的なリソースを持っている。

怒りの中に潜む「孤独」
【関連記事】