8月のアラスカでの米ロ首脳会談
8月のアラスカでの米ロ首脳会談は不調に終わった SERGEY BOBYLEVーSPUTNIKーPOOLーREUTERS

トランプの制裁はいくつかの理由で実質的な威力を持つ。第1に、イギリスなどの国々はロスネフチとルクオイルに制裁を科し、EUもこの2社以外のロシアのエネルギー企業を制裁対象にしてきたが、米財務省がこの2社を制裁リストに載せれば、ロシア経済が受ける痛手はこれまでとは比べものにならない。

第2に、米政府の追加制裁は川下ではなく川上を止める方式だ。製油会社や中間業者、ロシア産原油を積んだ違法なタンカーを取り締まるのではなく、海上輸送で輸出されるロシア原油の半分を供給する大元の2社、さらに石油採掘、探査、開発、精製を担うその子会社をごっそり締め上げる。

イラン方式は通用せず

しかも、制裁リストに載った2社かその子会社のいずれかと取引をした銀行、企業、港湾、個人は全て制裁対象となる可能性があり、そうなれば即座に国際金融シテムへのアクセスを失いかねない。

中国の一部の小規模の銀行や港湾は国際金融システムを介さずにイランや北朝鮮と違法取引をしている。だがエネルギー業界の大半の大手企業は米ドル建ての決済を行っており、違法取引を行えば、米財務省の一存で即座に取引停止に追い込まれる立場だ。

「米政府のやり方が賢いのは、原油を買う個々の製油会社ではなく、大手2社とその子会社を狙った点だ」と、フィンランドのエネルギー関連NPOのアナリスト、ペトラス・カティナスは言う。「これらの制裁はパイプラインと海上輸送で輸出される全てのロシア産原油に影響を及ぼす」。ロスネフチとルクオイルと取引がある全ての企業が巻き添えを食いかねないというのだ。

お得意様の中国やインドも及び腰に
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