「賛美のシャワー」という旧統一教会の勧誘テクニック


賛美の言葉で相手の気持ちを高揚させる

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「この化粧品はいかがですか?」

「とてもお似合いです」

「若返りますね!」

近年話題となった旧統一教会では、1990年代に膨大な数の信者を勧誘しました。それを可能にした勧誘テクニックの一つに「賛美のシャワー」というものがありました。

私が信者時代に持っていた、勧誘マニュアルの「賛美」の項目には「心が優しい方なんですね」「人から好かれるような感じですね」「輝いていますね」「なにかいいことあったんですか?」「スポーツマンタイプですね」「目がきれいですね」「知的ですね」「いいセンスしてますね」などの言葉を話すように推奨されていました。

相手を褒める手口で気分をよくさせながら、警戒心を解き、悩みなどの情報を引き出していくのです。このようにして多くの人たちが勧誘されていきました。

また、あるテレビ番組で、「褒め上げ商法」という高齢者の絵や詩などを褒め、展示会に出品する名目で高額な契約をさせる悪質な商法を行った業者が行政処分を受けたニュースを取り上げました。

そのとき、専門家として出演していた私は、コメンテーターから「褒めてなにが悪いのか?」と質問をされたことがあります。司会者からも「私も化粧品のお店に行って、店員から褒められて商品を買ってしまうことがあります。これは悪いことだと思いませんが、どうなのでしょうか?」と尋ねられました。

とても重要な指摘です。たしかにちゃんとしたお店で褒められて化粧品を買うことと、絵を褒められて契約することは、一見同じようにみえます。

相手の気持ちが高ぶって断れない状況まで誘導する

問題の褒め上げ商法は、褒めること自体に問題があるわけではありません。大事な違いは、「目的を告げているどうか」なのです。

この商法では、突然、高齢者に電話をかけてきて「素晴らしい作品ですね」などと褒めてきます。

そして相手の心が高ぶったところで「展示会に出品してみませんか?」と誘い、高額な契約をすすめてきます。最初に電話をかけてきた際に、契約させるという目的を話しておらず、相手の気持ちが高ぶって断れない状況まで誘導し、高額な契約をさせるのが問題なのです。

それに対して、化粧品店であれば、商品を購入するという目的が明確ななかで、褒められて商品購入を決定しているのです。

普段の生活のなかでは、人から面と向かって褒められることは少ないものです。そこをついて、悪質業者は「素敵だ」「素晴らしい」という褒め言葉を投げかけてきます。人はこうした言葉を受けて悪い気はしないので、気持ちが高揚し、警戒のガードが下がってしまい、簡単に誘導されやすくなるのです。


POINT:相手を褒めて気持ちを高揚させ、警戒のガードを下げさせて誘導する

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※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
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