今までの常識が覆らずとも、研究自体に価値あり

一方、現生人類の起源についてはさらなる研究が必要だ。すべての専門家がこの発見によって既存の知見が大きく変わると考えているわけではない。

ニューヨーク大学のスーザン・C・アントン教授(人類学)は本誌に、「今回の研究で脳容量の増大が始まった時期に対する理解が大きく変わるとは思えない」と述べた。

「鄖県2は他の研究でも異なる手法で再構築が試みられ、いくつかの異なる結果が出ている」

一方、「今回の研究の重要性は、3Dスキャンを用いて復元を行い、その上で他の化石との比較を行った点にある。最近分析されたばかりのデニソワ人の化石、特にハルビンおよび澎湖の標本を比較対象にしたことも大きい。デニソワ人の系統は、特にアジアにおける化石種に関する新たな理解と視点を提供してくれる」と、今回の研究に対して一定の評価をした。

ジョージ・ワシントン大学で人類の起源を研究するバーナード・ウッド教授も本誌に、「これほど古い時代に大きな脳容量を持つ個体が存在していたことは、驚くべきことではない。ただ、この証拠に価値があることは間違いない」と語っている。

プリンストン大学のルイス・シグラー統合ゲノム研究所のジョシュア・エイキー教授は本誌に「現在、人類の系統は1つだけだ。しかし、長い歴史の中で現生人類は多くの異なる人類グループとこの惑星を共有してきた。これらの異なる系統が互いにどのような関係にあったのか、いつ出現したのか、そして何が現生人類とそれ以前の人類を区別するのかといった点には、未だ多くの疑問が存在する」と語った。

「これほど古い時代にまで人類系統の分岐がさかのぼるのは非常に興味深く、挑戦的な見解といえる。この見解は最近の遺伝学研究とも一部一致している。初期の人類グループがこれまで考えられていたよりもはるかに長く存在していたことを示唆している」

現生人類はいつ生まれたのか。どのように姉妹種と共存してきたのか。今後の検証や研究で明らかになることが期待されている。

【動画】人類進化の定説を覆しかねない頭蓋骨、鄖県2
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