進化もよいことばかりではない

両名の研究によると、大きな進化的転換期は過去にも起こっている。単細胞生物が多細胞生物へと進化した時や、社会性を持つ昆虫がきわめて高い協力関係にもとづく集団をつくるようになった時がそれにあたる。

一方、生物学者の間では、人類にも大きな進化的転換期が起きているという見方には懐疑的な声もある。

研究チームはこの過程に関する数学的・計算モデルの構築を進めており、近く長期的なデータ収集プロジェクトを開始する予定だという。

ただし、文化的適応による進化を「進歩」や「必然」と捉えることには注意が必要だと警告する。

「我々は、裕福な社会や技術が進歩した社会が、道徳的に『優れている』などとは決して言っていない」とウッドは語る。

「進化は、優れた解決策を生むこともあれば、残酷な結果をもたらすこともある。我々はこの理論が、種全体として最も残酷な道を回避する手助けになると信じている」

【参考文献】

Waring, T. M., & Wood, Z. T. (2025). Cultural inheritance is driving a transition in human evolution. BioScience.

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