ジョン教授の研究室のリウ氏は、「特に『洗い流さない』タイプのヘアスプレーやヘアクリーム、ヘアジェルなど、熱に強い加工を施された製品は、想定以上に空気中への影響が大きいものでした」と指摘する。

肺の最深部でこれらのナノ粒子が最も高密度で沈着することを研究チームは確認。「熱を使用するヘアスタイリング」が、屋内大気汚染の大きな原因である可能性があるにもかかわらず、これまで過小評価されてきたと述べる。

リスクを減らすには

ジョン教授とリウ氏によると、最善の対策は、熱をともなうヘアスタイリングそのものを避けることだという。しかし、現実的にそれが難しい場合は、換気を徹底することが重要になるため、リウ氏は次のように述べる。

「やむを得ずヘアケア製品を使う場合は、使用を最小限に抑えるとともに、十分に換気された空間で行うべきです。たとえ加熱器具を使わなくても、換気を良くするだけで、シクロペンタシロキサンのような揮発性の化学物質の吸入を抑えることができます」

ただし、ジョン教授は次のようにも述べる。

「今後の研究では、こうしたナノ粒子の成分や形成プロセスをより詳しく調べる必要があります。これらの研究分野の空白領域に取り組むことで、熱を用いたヘアスタイリングにともなう排出物と曝露についてより包括的な理解につながり、それが屋内の空調環境の改善に向けた戦略にも貢献できるはずです」

【参考文献】

Liu, J., Jiang, J., Patra, S. S., Ding, X., Huang, C., Cross, J. N., Magnuson, B. H., & Jung, N. (2025). Indoor Nanoparticle Emissions and Exposures during Heat-Based Hair Styling Activities. Environmental Science & Technology, 59(32), 17103-17115.

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