キュレーターを務めたファブリス・アラーニョ
キュレーターを務めたファブリス・アラーニョ

来場者は鑑賞者であると同時に、旅人のように動き回って、散りばめられた映像や展示物を自身の中で再編集することで、映画を作る際の思考に入ることができる。そうすることで映画を自身の中で生まれ変わらせることができるというのだ。

いま求められる"再構築"する力。分断を煽る言葉に流されないために

本展のテーマである"再構築"は、いま私たちに最も必要とされていることの一つかもしれない。

21世紀も四半世紀を終えようとしている2025年。世界ではイデオロギーの対立がエスカレートし、AIで生成された映像や言葉が分断を煽る。日本も他人事ではなく、来たる参院選でもネット上では分断を煽る言葉や誹謗中傷が飛び交う。

こうした社会で必要なのは、溢れかえった情報をきちんと取捨選択し、自分なりに考えて構成していくことだ。そこに描かれていることや、書かれていることを鵜呑みにするのではなく、自身の五感を用いて把握したことを、思考を通して再構築するという行為が重要になってくる。

作品を通して、社会批判や戦争の非人道性を訴えてきたゴダールは生前、本展を鑑賞した際「生きた上映で、自由を取り戻すものだ」と称した。それは映画の在り方を問い続けてきた彼が、映画という枠を飛び出して構成されたこの企画の素晴らしさを表わすために発した言葉だったのだろう。

実際、本展は「映画とは何か、スクリーンにイメージを投影するとは何なのか」だけでなく、情報に溢れた現代社会を生きるために必要なことは何なのかという重要な問いを私たちに投げかけている。

撮影監督としてゴダール(右)と共同作業を行うファブリス・アラーニョ(左)
撮影監督としてゴダール(右)と共同作業を行うファブリス・アラーニョ(左)

ジャン=リュック・ゴダール《感情、表徴、情念 ゴダールの「イメージの本」について》展は、新宿・王城ビルにて7月4日~8月31日開催。

公式ホームページ https://godardtokyo.com/

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