
20年間の研究を経て、「ブリュード・プロテイン」を驚くべき方法により分子レベルで改変することで、理論的にはタンパク質を基盤とするものはほぼ何でも作れることが示された。人工肉やレザー、防水透湿素材、炭素繊維との複合化など可能性は無限だ。
ただし、世界がこのような「破壊的技術」を受け入れる準備ができているかどうかは別問題だ。この技術で全てのタンパク質由来の原材料が置き換え可能になり、大量生産できるようになれば、どの業界も影響を免れない。
例えばファッション業界。スパイバーの生地は、洗濯のたびにマイクロプラスチックを水中に放出する石油由来の安価なポリエステルに取って代わるかもしれない。しかし、最高品質のカシミヤを低コストで完璧に模倣できるとしたら、企業はこの破壊的変化を受け入れるだろうか。
世界中のファッション業界が製造過程の環境負荷の低減を公言しているが、専門家によると実質的成果はほとんど出てない。
職人技を思わせる姿勢
しかし、モダンな本社会議室で取材に応じた関山は気にしていないようだ。50年、100年という長期目標を目を輝かせて語る。研究の詳細についても驚異的な速さで説明してみせる。研究内容と独自技術、必要になった修正......。
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