祝宴の準備はまさに戦場で、ここで初めて厨房ドラマに欠かせない有名なセリフが登場する。大勢の料理人が声をそろえ、カレームの号令に「はい、シェフ!」と答えるのだ。人気ドラマ『一流シェフのファミリーレストラン(The Bear)』のファンは、「待ってました!」と拍手を送るだろう。

このまま終わっても大満足だが、ナポレオン戦争の足音迫る時代背景を考えれば、第2シーズンを作る余地は十分にある。例えば『戦争と平和』の主人公ピエール・ベズーホフとカレームが一緒に食卓を囲んだら、面白い話になるに違いない。

昔から美食は政治や外交の道具だった。それを思えば、『カレーム』はそこまで荒唐無稽ではないのかもしれない。カレームのピラミッド形ケーキのように一見たわいのない物が情勢を大きく動かした例は、いくらでもあるだろう。

とはいえこのドラマの最大の魅力は、史実やリアリズムをものともしない奔放さ。『カレーム』はどんな好き勝手も許したくなる絶品エンターテインメントだ。

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