インドのモディ首相は就任から11年間、中国とパキスタンの双方に対して受動的な安全保障体制を維持し、戦略的抑止策はほとんど見られなかった。

しかし今回は、慎重かつインパクトのある対応を示した。下流のパキスタンにインダス川水系の80%以上の水へのアクセスを認めるという、世界で最も寛大な水資源協定であるインダス水協定(IWT)を停止したのだ。

1960年に世界銀行が仲介したIWTは、長らく国境を超えた協力の模範として称賛されてきた。

しかし協定とは、IWTの前文にあるように「善意と友好の精神」の上に成り立つ。インドが65年間、この協定を固く遵守してきたのに対し、パキスタンは不誠実な行動を続け、インドの正当な水利権の行使を妨害してきた。

今のところ、インドはIWTの破棄には至らず「保留」にしている。モディは戦略的な曖昧さを保ちつつ、「資源共有には条件が伴う」という毅然としたメッセージを送った。これは警告であり決裂ではない。

パキスタンは、IWTの停止は「戦争行為」に等しいと主張し、平和的な紛争解決を定めた1972年のシムラ協定を含む全ての2国間協定を停止することで報復した。

しかし、この対応はインドの決定の背景にある事情を無視しているだけでなく、その影響についても誤解を招くものだ。

和平への確固たるコミットメントを示す