<ときめきは薄れても、相手に魅力を感じたことはたしかなはず。貴重な出会いを無駄にしないため、別れても大好きな人を親友に「リサイクル」>

「これからどうする?」。別れ話を切り出した私にトムは言った。初めてデートしてすぐ「運命の人」じゃないと気付いたけれど、彼のことは大好きだったから何カ月かデートを続けた。でもついに現実が押し寄せてきた。

「友達でいられる?」

「考えさせてくれ」。彼が沈んだ声で言った。「たぶん、いつかは......」

私は少し気落ちした。彼と恋人になりたいとは思わなかったけれど、さよならもしたくなかった。彼との思い出がよみがえった。地下鉄の乗客に対する彼の皮肉に声を立てて笑ったこと、記事で興味を持ったファシズムについてネットで調べまくったこと、軽い政治談議を楽しんだこと。

「寂しくなるわ」。私は言った。心から。

恋の終わりは、たとえそれがつかの間の恋だったとしても、少し気まずいものだ。自分をさらけ出し、それまでの経験を振り返って魅力的な自分を探す。初めてのキスのぎこちなさを乗り越え、メッセージやメールの嵐にときめき、恋人になれるかもと予感して、それから......往々にして期待が失望に変わる。

それでも相手に魅力を感じたことを無駄にしては駄目だと気付いた。材木店の木片みたいに、回収して新しい何かに再生できるかもしれない。

最初のデートで二度と会いたくないと思った相手はたくさんいた。失礼な人、自分の世界にどっぷりのオタク、自己チュー男......。その一方で、一緒にいるのが楽しくてデートを重ねた相手もいた。

中年になってからの友人探しは一苦労
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