しかしながら、はるか遠くにあるクエーサーの最も内側の領域を観測するという課題の達成は難しい可能性がある。

「多くの超大質量ブラックホールは、初期宇宙の塵が多い区域に隠されており、見つけられない可能性がある」と、津久井は説明した。

「ALMAで観測された電磁波は、塵によって簡単には吸収されない性質があることから、我々が用いた観測手法は、隠された超大質量ブラックホールを発見するための強力なツールになる」

ALMAの観測データは、ブラックホールの付近に見られる極限状況についての理解を深める上で、すでに研究者の役に立っている。

「ブラックホール周辺で渦を巻く物質が発する強烈なX線放射は、──強い風と衝撃波も加わることで──、通常の銀河環境で典型的に見られる状態よりもはるかに高いエネルギー状態までガスを熱することがわかった」と、津久井は付け加えた。

ここで比較として挙げられている、より一般的な銀河環境では「主なエネルギー源は、恒星からの紫外線放射から来るものだ」と、津久井は説明した。

今後、他の天体でも、ガス排出の様子を高解像度で観察できれば、超大質量ブラックホールの形成・進化の過程に関する理解がさらに深まるはずだと、研究チームは期待している。

(翻訳:ガリレオ)

【参考文献】

Tadaki, K., Esposito, F., Vallini, L., Tsukui, T., Saito, T., Iono, D., & Michiyama, T. (2025). Warm gas in the vicinity of a supermassive black hole 13 billion years ago. Nature Astronomy.

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