ただしMPA指定に対する地域社会の賛同を得る作業は複雑で、手間も時間もかかる。しかも、必ずしも好ましい結果が得られるとは限らない。漁期や漁区の制限で地域社会が被るコストは明確かつ直接的だが、その恩恵は不確実だ。

一方、同じ地域でも漁業に関わっていない人たちは、たいてい海の生物多様性などを気にもしていない。

そこでウートンらは先住民のコミュニティーとも協力し、まずは誰もが興味を持ち、保護したいと思いそうな海洋生物5種を選定した。オーストラリアアシカ、オーストラリアコウイカ、シロハラウミワシ、ホホジロザメ、そしてミナミセミクジラだ。

ウートンらはこの5種をキャラクターに仕立て、海洋生物保護の重要性を訴えるアウトリーチ(住民の参加と理解を求めるための働きかけ)活動を始めた。

具体的には、学校での「ファブ・ファイブ」アートコンテストの開催、地元の各種行事への「ファブ・ファイブ」マスコットの参加、美術館や博物館での「ファブ・ファイブ」関連企画の開催などだ。どの会場でも、ボランティアがMPAに関する教育的資料を配布した。

ビジュアル重視のこのアプローチは大成功だった。大勢の人が海洋保護の問題に関心を持ち、その効果は時間が経過しても衰えなかったとウートンは言う。よそのMPAを取り上げたメディアの報道も増え、それでMPAに対する認知度が一気に高まる効果もあった。

「アフリカのサファリで人気の動物がビッグ・ファイブ(ゾウ、ライオン、アフリカスイギュウ、サイ、ヒョウ)と呼ばれているのにヒントを得た」とウートンは語り、さらにこう続けた。

「人気の高い動物を選ぶことで一般の人々が海洋環境とつながりを持つきっかけをつくり、MPAの役割やその利点についての理解を促すことができた」

「コンサベーション・マーケティング」が成功
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