エミリアはマニタス時代に犯した秘密の罪を償うべく慈善団体を立ち上げ、リタもその協力者として一家の暮らしに引き込まれる。

救済活動の一環として人捜しをするうち、エミリアは行方不明の夫を捜すエピファニアと出会い、恋に落ちる。実はエピファニアは夫から暴力を受けていて、夫は遺体となって発見される。

一方、ジェシーは元彼(エドガー・ラミレス、Édgar Ramírez)とよりを戻し、これを機にストーリーは終始漂っていたメキシコ版フィルムノワールの領域に入り込む。

難役を超絶的な演技力で

フランスのクレモン・デュコル(Clément Ducol)とカミーユ(Camille)による音楽は軽快とは言い難い。

長くて映画のプロットと深く結び付いている点は、レオス・カラックス(Leos Carax)監督の『アネット(Annette)』(21年)と似ていなくもない。だが、どの曲もそれぞれのシーンにぴったりで、華麗なアンサンブルになっている。

メキシコシティでの豪華な資金集めパーティーで、サルダナは赤いベルベットのスーツに身を包み、テーブルの上でメキシコの腐敗した支配階級を痛烈に(それでいてセクシーに!)批判しながら踊る。

セレーナ・ゴメスは大きなソロは1曲だけだが、台本では型どおりの悪党の愛人よりはるかに狡猾で複雑な人物を表現できるチャンスがたっぷり用意されている。

手術前後で歌声まで変わるガスコン
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