別のデモ参加者のU.Mさんも、「低くうなるような音」が10秒から15秒ほど続いたと証言する。「その間は何が起きているのか全然分からなかった。誰かがこっちへ来るのか、走り去ろうとしているのか、それとも誰かが攻撃しているのか」

音響に続いて人々が折り重なるように倒れ、U.Mさんの妻も周囲の人たちも転倒したという。

ブチッチ大統領は、外国でLRAD砲を目にする機会があったと語り、「同砲は強烈な耳をつんざくような音を放つ」と指摘。「土曜の夜、ベオグラードの通りでそんな音は聞こえなかった」と付け加えた。

アメリカのNPO「人権のための医師団(Physicians for Human Rights、PHR)」は音響兵器について「痛みを感じるレベルの大きな騒音を放って群衆を管理する目的で使用され、耳に重大な障害を引き起こしたり、聴覚を失ったりすることもある」と解説している。

LRADについては「20メートルの距離で苦痛を生じさせ、至近距離(5メートル以下)では永久的な聴力喪失を引き起こす可能性がある」と指摘。「音響兵器は深刻かつ永久的な傷害を引き起こす可能性が大きく、重大な懸念がある」とした。

セルビアの主要同盟国であるロシアは、かつてセルビアの自治州だったコソボの国際承認を阻んでいる。ブチッチ大統領は、ロシアとウクライナの戦争ではどちらにも付かないと主張してきた。

2022年2月にロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナに本格侵攻したことを受けて西側諸国は対ロシア制裁を発動したが、ブチッチ大統領はこの制裁には加わらなかった。

昨年7月にベオグラードでロシアのアレクサンドル・グルシュコ外務次官と会談したブチッチ大統領は、セルビアとロシアの関係を「非常に良好」と形容した。

「あからさまな武力の誇示」
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