煙はまだ広がり続けている。すると驚いたことに、エコーが冷蔵庫へ走った。扉を開けると冷蔵庫からペットボトルの水を取り出し、消火に使えるよう、すぐにシンプソンさんに渡したのだ。幸いなことに、被害は電子レンジが少し焦げただけで済んだ。

SNSに投稿された動画はたちまち話題になり、本稿執筆時で再生数は970万超、「いいね」は120万に到達。シンプソンさんは自分を助けて冷静な知性を発揮してくれた「ヒーロー犬」をたたえている。

「エコーは素晴らしい自立思考を発揮した。多くの働く犬たちが、それぞれの専門分野の内外でこんな風に考えて行動している。緊迫した状況の中で彼がどれほど冷静に意図をもって行動したかを見てもらえてうれしい」とシンプソンさんは本誌に語った。

「エコーのことを誇りに思う。多くの危険な状況から私を救ってくれた素晴らしい介助犬。忠実で、いつも守ってくれて、思いやりがあるから。そうした性質は訓練で身に着くものでも換えが効くものでもない。それがこの子だから」

シンプソンさんはてんかんと、心拍数が変動する体位性頻脈症候群を患っている。エコーはいつもそばにいて、発作が起きる前に察知して薬を持ってきて、発作が起きるとシンプソンさんの体の上に乗ってけがや転落を防ぐ。

エコーが訓練の成果を発揮してシンプソンさんを助ける様子はSNSで多数のフォロワーを楽しませているが、今回はこれまでとは全く違う緊急事態だった。エコーが見せた冷静な判断力は絶賛されている。

「たくさんの人が素晴らしい対応だったと言ってくれた。エコーの方が私より頭がいいという人もいる(実際にそういう時もある)。エコーと私は、彼が自分で考えて、さまざまな状況に自信を持って対処できるようにと頑張ってきた」とシンプソンさん。

ユーザーからも賞賛の声が相次ぎ、TikTokに寄せられたコメントは本稿執筆時で1万8700件を超えている。「この犬を緊急連絡先に登録すべき」「あなたを助けてくれたこの犬、頭良すぎ」などのコメントのほか、「どうしてこの犬の方がサバイバル能力が高いの?」というジョークもあった。

(翻訳:鈴木聖子)

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