<ミャンマー国境地帯で人身売買被害者である外国人が解放されたが、さらに闇深い地域が存在する>

肥沃で広大なメコン川流域に、まさか巨大なサイバー詐欺団地があったとは。ミャンマーの南東部に位置し、タイとの国境に接するカイン(カレン)州の町ミャワディで2月、謎の犯罪組織に監禁されていた外国人約1万人が解放され、近く本国に送還されるという。しかも最初に救出された260人中258人までは人身売買の被害者とされる。この割合が全体にも当てはまるなら、史上最大の人身売買被害者救出劇となる。

実現すれば多くの人が苦しみから解放されることになる。しかも彼らは、英エコノミスト誌の言う「世界で最も危ない犯罪産業」についての貴重な情報源となり得る。

だが、そんなにうまくいく保証はない。前途にはさまざまな障害が立ちはだかっている。そこから見えてくるのは、なぜ東南アジアのこの地域におけるサイバー詐欺産業の撲滅が困難であるか、そしてどんなに困難でもこの人道に反する犯罪的ビジネスモデルを撲滅することが、周辺各国と世界全体の安定と利益につながるかということだ。

最初に注意しておきたいのは、この「救出」劇を主導しているのがミャンマーの少数民族武装勢力のカレン国境警備隊(BGF)と民主カレン慈善軍(DKBA)であることだ。彼らはサイバー詐欺組織の拠点のある一帯を実効支配しているが、一方で詐欺組織からの上納金に依存しており、その撲滅どころか存続を願っている。

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